自宅に当面の仕事場をつくるにあたって、現状の我が家の間取りでは、リビング・ダイニングの中で工夫して模様替えをすることになった。
模様替えをするにあたり、子どもの居場所も同時につくることが最も重要なテーマとなった。以前は窓側のダイニングスペース付近に子どもの遊び場をしつらえていたが、子ども達はリビングスペースのテレビの近くで遊ぶことが多く、ダイニングテーブルやソファによって子どもの遊び場とリビングスペースは空間が分断され、流動的に遊ぶことが困難になっていた。
そこで元々子どもの遊び場だったダイニングスペースの一角を僕の居場所とすることにした。一坪にも満たないスペースだがその程度の広さで十分だった。あとは仕事で使う資料の置き場所、模型製作やカタログ、サンプルを広げることのできるスペース、打合せのスペースが必要だった。
資料の置き場所となる書棚は、本や雑誌を収納していた手持ちのカラーBOXを利用することにした。これらの書棚や収納棚、子どものキッチンや本棚をマンション特有の柱、梁による壁面、天井面の凹凸部に納めることで空間全体を整えた。
新たに製作する収納棚はできるだけ安価に抑えるためにツーバイ材やラワン合板、胴縁に使われる杉材など一般的にホームセンターで購入できる材料を使用している。
模型製作などの作業や打合せのためのスペースは、日常の家族の食事や団らんの場となるダイニングテーブルを利用することにした。
これは曖昧な性格を持った万能室である日本の茶の間のように、部屋を時間のシークエンスによって使い分けることで、無駄なスペースをなくし、最小限で機能的な空間がつくり出せるのではないかと思った。
結果、子どもの遊び場は子ども達が以前から遊んでいたように、自然な流れでリビングスペースと一体的に計画することになった。
この模様替えが終わった後、「お友達に遊びに来てもらいたいなぁ」とつぶやいた娘の一言が素直に嬉しかった。