ウサギ小屋

最近、清家清さんの住居学の本をいくつかAmazonで購入して読んでいます。

40年ほど前に出版された本なので、時代も環境も常に変化している現在にはおいては、少し違和感を感じることは言うまでもありません。

しかし、時代がどんなに変わっても「住まい」の本質は変わりません。住まいはそこに住む家族一人ひとりの発想や意識が大事なのであって、建築物や家具什器など、モノの問題は、本来副次的な問題で、重要なのはあくまで家族の生活であることを伝えてくれます。

その中で「ウサギ小屋は素晴らしい」というタイトルの文章がありました。

ウサギ小屋というのは、日本の住宅の狭さをヨーロッパの人々から皮肉られた言い回しです。清家さんはウサギ小屋結構と、本の中で開き直っています。

日本人の伝統的な生活は、寝るのも食べるのも全部ひとつの部屋で、それも親子・家族のスキンシップの中で行われていました。朝ごはんを食べる時にはちゃぶ台を出してきて、寝る時はそこに布団を敷いて…。日本人は時間をうまく使って、狭い空間を常に有効に使ってきました。

しかし、洋風の生活スタイルが浸透している現在においては、用途別に部屋を明確に分ける傾向が強く、使われない無駄な空間が多いように感じられます。

僕自身、住宅の設計をしていると、クライアントから間取りは〇LDK以上必要だとか、この部屋は〇畳以上必要など、予算は〇〇円以内なのに、コストに直結する面積は〇〇以上を要求してきます。困ったものです…(笑)

小さな空間、コンパクトなものを生かしきるというのは日本人の素晴らしい特技だと思うし、住まいの価値を決めるのは「広さ」ではなく、「住まい方」であると、これからも声を大にして言いたいと思います。

 

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写真は母校の小学校のウサギ小屋です。僕が通っていた頃から、外壁のサイディングやコンパネなどが新たに張られているぐらいで、その他は30年近く変わってないと思いますが、改めて見るといいプロポーションだなぁと思ったのでした。

僕の居場所(間借り)

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自宅に当面の仕事場をつくるにあたって、現状の我が家の間取りでは、リビング・ダイニングの中で工夫して模様替えをすることになった。

模様替えをするにあたり、子どもの居場所も同時につくることが最も重要なテーマとなった。以前は窓側のダイニングスペース付近に子どもの遊び場をしつらえていたが、子ども達はリビングスペースのテレビの近くで遊ぶことが多く、ダイニングテーブルやソファによって子どもの遊び場とリビングスペースは空間が分断され、流動的に遊ぶことが困難になっていた。

そこで元々子どもの遊び場だったダイニングスペースの一角を僕の居場所とすることにした。一坪にも満たないスペースだがその程度の広さで十分だった。あとは仕事で使う資料の置き場所、模型製作やカタログ、サンプルを広げることのできるスペース、打合せのスペースが必要だった。

資料の置き場所となる書棚は、本や雑誌を収納していた手持ちのカラーBOXを利用することにした。これらの書棚や収納棚、子どものキッチンや本棚をマンション特有の柱、梁による壁面、天井面の凹凸部に納めることで空間全体を整えた。

新たに製作する収納棚はできるだけ安価に抑えるためにツーバイ材やラワン合板、胴縁に使われる杉材など一般的にホームセンターで購入できる材料を使用している。

模型製作などの作業や打合せのためのスペースは、日常の家族の食事や団らんの場となるダイニングテーブルを利用することにした。

これは曖昧な性格を持った万能室である日本の茶の間のように、部屋を時間のシークエンスによって使い分けることで、無駄なスペースをなくし、最小限で機能的な空間がつくり出せるのではないかと思った。

 

結果、子どもの遊び場は子ども達が以前から遊んでいたように、自然な流れでリビングスペースと一体的に計画することになった。

この模様替えが終わった後、「お友達に遊びに来てもらいたいなぁ」とつぶやいた娘の一言が素直に嬉しかった。

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ブログはじめます!

こんにちは、石川裕一建築設計事務所 代表の石川裕一です。

この4月に独立し、愛媛と福岡を中心に建築の設計をしています。

 

仕事のことや普段自分が感じていることをこのブログで書こうと思います。

 

今後ともよろしくお願い致します。