まちびらきから50年以上経過した泉北ニュータウンは人口の減少や高齢化の傾向が強くなってきてはいるものの、子育て世帯の転入も増えつつあり、少しずつ変化がみられます。もともと一区画だった宅地を二つに分譲されていたのが今回の計画地です。
南北2つの高低差のある道路に面した敷地の特性を活かし、2方向からのアプローチと南北への抜けを意識して計画しました。
3つのボリュームを平面的に少しずつずらし、建物を配置することでできた中央の余白に中庭を設けました。
地下駐車場からの中庭へ抜ける動線を確保し、中庭を介して光や風と視線の抜けをつくりました。1階はキッチンとダイニングが中心となる家族団らんを意識した平面計画とし、西側の開放的な窓が中庭とつながります。
南北に配置した性格の異なるリビングは、生活のスタイルに合わせて使い分けます。南側のリビングはデッキテラスを介して外部(庭)とつながり、キッチン、ダイニングと一体的に利用することができる日常の空間として、北側のリビングは大きな開口から安定した光が入り、落ち着いた空間として計画しています。
少しずつ床レベルを変えながらパブリック空間からプライベート空間へと展開していき、2階へと導かれて行きます。北側リビングの吹き抜けを介してつながる2階書斎の窓からは街路樹の緑が季節の変化を感じさせ、リモートワークが増えた昨今のワークスタイルにも対応しています。
子供室の出入口を引き分け戸にすることで、将来2室に分けても使えるように配慮しています。2階の中庭に面する部分にも開放的な窓を設けることで上下階が視覚的につながり、子供室前の廊下は明るく開放的な縁側のような空間になりました。
今回は設計者でもあるクライアントとの共同設計のスタイルをとりました。一歩踏み込んだり引いたりと、いつもと違った立ち位置で設計できたことがとても新鮮でした。
写真:土出将也(株式会社エスエス大阪支店)














